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2006/06/29 更新

シンポジウム1 「がんの治療に必要な緩和ケア」
市立秋田総合病院外科 緩和ケアチーム 橋爪 隆弘
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 私は外科医なので、まずがんの根治を目指しますが、根治が不可能な場合、「とにかく長く生きていただく」、「できるだけ症状を取る」、「できるだけ生活の質(QOL)の向上を目指す」の3点を目標に治療を進めていきます。「緩和ケアは終末期医療ではないのですか」とよく聞かれます。10年くらい前は私もそう思っていましたが、緩和ケアは症状を緩和することが目的で、終末期医療とイコールではないというのが最近の考え方です。

 がんの患者さんには痛み、食事がとれなくなる、便秘、むくみ、呼吸困難などいろいろな症状があります。痛みは医療用麻薬を適切に使うWHO方式がん疼痛治療法で80〜90%が取れます。その他の症状も医療者側が正確な知識を持っていればほとんど解決できます。

 WHOから2002年に緩和ケアの定義が出されました。「緩和ケアとは、治癒を目的とした治療に反応しなくなった患者に対する積極的で全人的なケアであり、痛み、その他の症状のコントロール、心理面、社会面、精神面のケアを最優先課題とする。緩和ケアは、疾患の早い病期においても、がん治療の過程においても適用されるべきである。」というのがその定義です。

 がんと診断されたときから痛みの治療(緩和ケア)をしていこうというのが今のがん治療の流れになっています。またアメリカ腫瘍学会では「治療医はがん患者の大多数が訴える痛みを完全にコントロールすべきである。すべてのがん患者は痛みのない生活を送り、そして痛みのない死を迎える権利がある」としています。世の中には、痛みや苦しみを抑さえる様々な方法があるのですから、がんで苦しんではいけません。苦しいときは医療者に相談して下さい。「緩和ケア」を受ける権利が皆さんにはあります。

 がんの治療に必要なものは、がんの病状や病名を伝えるインフォームドコンセント、患者さんと医療者で治療目標を決めること、症状を積極的に取る緩和ケア、その3つです。これからのがん医療は、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士が力を合わせるチーム医療、患者・家族、医療者、地域社会との連携、医療者側から社会への正確な情報発信が必要です。病院だけが緩和ケアを担うのではなく、がんになっても身体的、精神的、社会的な痛みから解放され、安心して暮らせる社会をみんなで作っていかなければならないと思っております。

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 ・基調講演1「がんの痛みと医療用麻薬」
 ・基調講演2「心のケア・家族のケア」
 ・シンポジウム1「がんの治療に必要な緩和ケア」
 ・シンポジウム2「秋田市医師会での取り組み」
 ・シンポジウム3「ホスピス病棟では」
 ・シンポジウム4「在宅ホスピスケア」
 ・秋田宣言

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